先日、こんなお問い合わせをいただきました。
レセプターブロックという消臭方法があると聞きネットで調べてみましたが、エステーのサイトをみてもちょっとよくわかりません。レセプターブロック消臭がどのようなメカニズムなのか簡単に教えてください。根本解決になるのかならないのか知りたいです。
先に結論をいうと、従来の消臭方法と同様に、レセプターブロック消臭は、どちらも脱臭のような根本的な解決にはなりません。とはいえ、レセプターブロック消臭は消臭方法の選択肢として画期的で興味深いので、以下詳しく解説します。
嗅覚は、外界から化学物質が放出され、鼻腔に取り込まれることで感知されます。鼻腔内には、嗅覚受容体と呼ばれる細胞が存在し、化学物質がこれらの受容体に結合することで、神経信号が発生します。この神経信号は、嗅球と呼ばれる脳の領域に伝わります。嗅球では、神経信号が処理され、特定の化学物質に応答するニューロンが活性化されます。この活性化により、嗅覚情報が他の脳の領域に伝わり、最終的に我々が香りを感じることができるようになります。
「嗅覚受容体」は、英語で「olfactory receptor」と言います。嗅覚受容体は、鼻の中の嗅覚細胞に存在するタンパク質で、外部からの化学物質(匂い分子)を感知し、神経信号に変換する役割を持っています。人間の場合、約400種類の嗅覚受容体があり、それぞれが特定のニオイ分子に反応します。嗅覚受容体の発見は、ニオイの分子の識別と脳内での情報処理の仕組みを理解する上で重要な役割を果たしています。
便臭を感じるレセプターに、便臭の原因分子がカチッとハマると、便臭を感知します。
レセプターブロック消臭とは、便臭の原因分子がレセプターに届く前に、似た分子をレセプターに送り込むことで、蓋をして、便臭の原因分子がレセプターにカチッとハマらないようにする仕組みだと言えます。
便臭の原因分子がレセプターにカチッとハマらなければ便臭を便臭だと感じないため、これもひとつの消臭だと言えます。
冒頭でも書いたように、従来の消臭方法とレセプターブロック消臭は、どちらも脱臭のような根本的な解決にはなりません。
従来の消臭方法とレセプターブロック消臭の違いをわかりやすく何かに例えるなら、以下のように音楽で例えることができるかもしれません。
従来の消臭方法
音楽Aをスピーカーで聴く中、Aの10倍の音量で別のスピーカーから音楽Bを流すことで、ほとんどBしか聴こえない状態。Aの音楽がなくなったわけではない。
レセプターブロック消臭
Aの音楽をスピーカーで聴く中、耳にイヤホンを装着して音楽Bを流す。このとき、Bの音量は大きい必要はない。この場合、ほとんど音楽Bしか聴こえないが、スピーカーからは変わらず音楽Aが流れ続けている。
※「脱臭」とは音楽Aを止めることです。そのため、音楽Aをかき消すための音楽Bは不要ということになります。