ここでは、液体の「オゾン水」について説明します。
気体のオゾンについては「オゾンの特徴」をご覧下さい。
本記事では、オゾン水とは一体どのような液体なのか、オゾン水の効果、オゾン水の特徴やメリット・デメリット、作り方などを中心に解説します。オゾン水が、今あなたが抱える問題や悩みを解決するひとつの選択肢になれば嬉しく思います。
オゾン水とは
オゾン水は、オゾンが水に溶存している状態の液体を指し、酸化による除菌後、酸素と水へ戻るので、安全性はきわめて高いことで知られています。
オゾン水は、野菜や果物の残留農薬除去、衣類や寝具の脱臭除菌、赤ちゃんのおもちゃの除菌、ペットの食器や安全靴の除菌洗浄、車内フロアマットの洗浄、それに介護施設や医療施設などでは感染症対策として利用されるなど実に幅広い分野の衛生シーンで活躍しています。
コロナ禍において、スーパーや薬局などの店舗でも、マスクだけではなく、アルコール除菌シートや消毒液などが入手しづらい状況が続いてた頃、店舗入口でスプレーボトルに入れられたオゾン水を見かける機会もありました。
オゾン水生成器と水さえあればどこでも簡単にオゾン水を生成することができます。
また、アルコール(エタノール)は揮発性が高く、手のひらに吹きかけて手指にすり込んでいる内にすぐに蒸発するため拭き取る手間はありません。一方、アルコールと同等レベルの殺菌消毒効果があるオゾン水はアルコールのように揮発性はないため、手指に噴霧したあと拭き取る必要があります。その代わり、アルコールのように肌を傷めることもなく、手がカサカサになったりすることはないというメリットもあります。
多くの方が身近に感じる商品としてはスーパーのカット野菜や果物、あれにもオゾン水が活用されています。
<濃度の表し方>
オゾン水のオゾン濃度の表し方として「ppm」と「mg/L」がありますが、ppmは「比率」を表し、mg/Lは「単位」を表しています。この2つは、厳密には異なりますが、あなたが論文や学術的な資料を作成するのでない限り、「ほぼ同じものである」と考えて問題ないでしょう(1ppm ≒ 1mg/L)。
オゾンを利用したオゾン水除菌の仕組み
オゾン水の脱臭除菌メカニズムは、基本的に気体のオゾン脱臭除菌の仕組みと変わりません。異なる点は、オゾンが気体の状態なのか、それとも水に溶存した状態なのかという点になります。
オゾン水に溶存しているオゾンの濃度は、理論値として21分毎に半減するとされています。
※あくまでも理論値であり、実際にその濃度を計測すると、半減とまではいきません。
時間経過とともに、オゾン濃度がほぼ0(ゼロ)になったとき、一時的に菌やウイルスが存在しない無菌状態の水が形成されます。ただし、一時的に無菌であっても、温度や湿度あるいは硬度などのさまざまな影響により菌は再び繁殖・増殖し、無菌状態ではなくなり、「ただの水」になります。
また、「オゾン発生器の危険性と安全性を理解する」でも詳しく説明しているとおり、オゾンには物質としての有害性がありますが、よほどのことがない限りオゾン水自体に危険性はなく、白内障の手術をする前の目の洗浄にも使われているほど安全性が高いのでご安心下さい。一度水に溶け込ませてしまえば、気体のオゾンより安全性は高く、その点、扱いやすいといえるかもしれません。
しかし、注意していただきたいのは、生成方法によっては、溶けきれなかったオゾンが水中から大気中に微量ながら漏れ出るケースがあるため、生成方法によっては換気を行いながらオゾン水を生成するようにして下さい。特にエアレーション式でオゾン水を生成する場合、電解式のように効率的にオゾンが水に溶け込まず、大気中に漏れ出てきます。
※生成方法と生成濃度の違いは「オゾン水生成器の正しい選び方-生成可能濃度の確認」を参考にして下さい。
オゾン水の知るべき5つの特徴
水の中にオゾンが溶け込んだ液体をオゾン水と呼ぶわけですが、気体のオゾンと比較し、オゾン水は液体であるため、液体ならではの特徴もあります。以下、オゾン水の知るべき特徴5つについて、ズバッとまとめてみたいと思います。
オゾン水は、「大腸菌」や「ブドウ球菌」は、わずか1.0ppm程度・5秒の接触で死滅率100%となっています。「サルモネラ菌」は2.0ppm・15秒で死滅率99%、「ノロウィルス」は2.0ppm・15秒で90%、30秒で99%以上を死滅させる除菌力となります。詳しくはこのページの少し下にある表「オゾン水の除菌効果」をご覧下さい。
これは気体であるオゾンの特徴と同じです。オゾンに残留性がないわけですから、必然的にオゾンを溶け込ませたオゾン水も残留性がなく、液体の中に溶存するオゾンは時間経過とともに、水と酸素に戻ります。
スーパーのカット野菜や果物の洗浄除菌にも、オゾン水が利用されていることを聞けば、その安全性の高さをイメージしやすいかもしれません。また、歯科医療器具は最終的にはオートクレーブにて除菌しますが、その前段階でオゾン水除菌(厳密には滅菌)する施設も少なくありません。白内障手術前の目の洗浄、トイレのウォシュレットなど幅広いシーンで実は利用されています。
「除菌」を考えたとき、もっとも懸念されるのが安全性です。薬品系の除菌剤は「除菌効果はあるが、残留性もある」のが一般的です。またその残留物を微量ながら食品などを通して摂取しつづければ体内にも蓄積される場合もあります。しかし、オゾン水に残留性はなく「安全性」という観点からも薬品系の除菌剤と比較してオゾン水に優位性があるといえます。
液体としてオゾンを除菌に活用する場合、これまで液体洗浄していたものほぼすべてのシーンでオゾン水に置き換えることが可能です。
オゾン水のオゾン濃度は21分毎に半減(理論値)してしまうため、生成直後のオゾン濃度が高い内に使用するのがもっとも効果的です。理論的には、生成直後3ppmだったオゾン水のオゾン濃度は、42分後に0.75ppmになっています。(実際に濃度計測すると半減とまではいかないまでも、それに近い数値になります)
オゾン水のメリット・デメリット
ここまでオゾン水の大きな特徴を5つご紹介しましたが「除菌効果が高く、残留性がないなら、安全でパーフェクト」だとは思わないで下さい。
気体のオゾンと同じく、便利な反面、注意しなければいけないこともあります。
オゾン水の特徴やメリット・デメリットをよく理解し上手に活用しましょう。客観的な視点からオゾン水除菌のメリット・デメリットをご紹介しますので、それらを理解したうえでオゾン水を上手に活用されて下さい。
オゾン水のメリットは次のとおりです。
- マスキング(一時的に包み隠す)をメインとする消臭芳香剤とは異なり根本から消臭除菌が可能
- 細菌を溶解するため遺伝子が変化した耐性菌を作らない
- 短時間で分解され有害な残留物を残さない
- 残留物を残さないため、使用後、洗浄や拭き取りなど作業の手間が省ける
- オゾンの除菌効果はほぼ全ての菌やウイルスに対して強力にその効果を発揮する
- トリハロメタン等の有機塩素化合物を作らない
- 除鉄、除マンガンが容易
- オゾン水生成器さえあればオゾン水を生成するために必要なものは酸素、水、電気のみ(低コスト)
オゾン水のデメリットは次のとおりです。
- 残留性を必要とする分野(例えば水道)では単独で使用できない
- オゾン水生成器の購入がイニシャルコストとして必要
- オゾンの特性を多少なりとも理解する必要がある(ただし気体のオゾンより液体のオゾン水の方が扱いが容易)
- 生成方法によっては生成時に換気が必要である
- オゾン水のオゾン濃度は21分毎に半減するため濃度を保持したまま保管・維持はできない
オゾン水の除菌効果
オゾン水の除菌効果は非常に高く、また除菌効果の範囲も非常に広範囲です。たとえば、多くの方がよく耳にする「大腸菌」や「ブドウ球菌」は、わずか1.0ppm程度・5秒の接触で死滅率100%となっています。
また、表には掲載しませんが、「サルモネラ菌」は2.0ppm・15秒で死滅率99%、「ノロウイルス」は2.0ppm・15秒で90%、30秒で99%以上を死滅させます。
■ 具体的にどのようなニオイに効果があるのか?
(生活臭)
ゴミ、トイレ、下水、浴室、キッチン、ゴミ焼却臭、靴、排水口、カビ、線香等
(食品臭)
果物のニオイ、玉ねぎ、ニンニク、焼き肉、魚、漬物、燻製、香辛料、チーズ、酒類等
(人や動物臭)
体臭や嘔吐臭や口臭、死体や腐敗臭等
(薬品臭)
防虫剤や殺虫剤のニオイ、パーマ液臭等
(産業系で発生する臭気)
肥料、下水処理、し尿処理のニオイ、ゴム加工臭、潤滑油のニオイ、食肉センター、火葬場のいニオイ、病院や病室のニオイ等
微生物の種類 | 水中オゾン濃度(ppm) | 微生物濃度(個/ml) | 温度(℃) | pH | 接触時間 | 死滅率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
大腸菌 | 0.96 | 105cells | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
ブドウ球菌 | 1.08 | 105cells | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
緑膿菌 | 1.01 | 105cells | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
クロストリジウム | 0.96 | 105cells | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
インフルエンザウイルス | 0.96 | 1053EID50 | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
鶏脳脊髄炎ウイルス | 0.72 | 1029EID50 | 20.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
犬伝染性肝炎ウイルス | 1.20 | 1015TCID50 | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
パルボウイルス | 0.96 | 1025TCID50 | 21.0 | 7.0 | 5秒 | 100 |
鶏コクシジウム | 1.92 | 約3×103cells | 20.0 | 7.0 | 30秒 | 100 |
カビ | 0.3-0.5 | 105cells | 20.0 | 6.5 | 19秒 | 99.9 |
酵母 | 0.3-0.5 | 105cells | 20.0 | 6.5 | 90秒 | 99.9 |
枯草菌 | 0.3-0.5 | 105cells | 20.0 | 6.5 | 30秒 | 99.9 |
オゾン水・塩素系薬剤・アルコールを比較すると次のとおりです。
除菌水または薬品名 | オゾン水 | 塩素系除菌剤 | アルコール |
---|---|---|---|
ヌメリ除去 | ◎ | × | × |
除菌効果 | ◎ | ◎ | ◎ |
消臭効果 | ◎ | × | × |
周辺機器への影響 | ◎ | × | ○ |
手肌へのやさしさ | ◎ | × | △ |
食材へのダメージ | ◎ | × | × |
使いやすさ | ◎ | △ | ○ |
安全性 | ◎ | × | △ |
イニシャルコスト | △ | ○ | ◎ |
ランニングコスト | ◎ | △ | △ |
塩素系除菌剤やアルコールは安価ですぐに手に入りますが、オゾン水を生成するためにはオゾン水生成器が必要であり、その分、イニシャルコスト(初期投資)の点では不利かもしれません。しかし、総合的に考えると、もっとも実用性と効果が高いのはオゾン水だといえます。
さらに、オゾン水と最近耳にする機会が増えてきた次亜塩素酸水を具体的に比較してみましょう。
オゾン水と次亜塩素酸水を比較すると次のとおりです。
名称 | オゾン水 | 次亜塩素酸水 |
---|---|---|
原料 | 水道水 | 水道水と食塩(電解助剤として必要) |
除菌力 | 幅広く微生物・ウイルスに有効である。 | 比較的低い有効塩素濃度でも短時間で除菌効果があり、細菌・真菌・ウイルスにも有効である。 |
残留性 | 数分でオゾン水は真水に戻り無臭かつ残留性はない。 | 塩素臭が残り、残留性も高い。 |
有機塩素化合物の生成 | 副生成物は発生しない。 | 有機物と接触して有機塩素化合物を生成する。 |
手肌へのやさしさ | やさしい。無害。 | 長期の使用は皮膚の炎症や手荒れの原因になる。 |
使いやすさ | オゾン水生成器さえあれば、水と電気を用意するだけなので利便性はきわめて高く、使いやすい。 | 薬剤管理・調整が必要。 |
消臭除菌効果 | 臭気原因を直接分解するので効果は高い。 | 効果はあるが、オゾン水ほどの効果は期待できない。 |
用途の幅広さ | 除菌以外にヌメリ除去や消臭目的での使用も可能。 | 除菌・殺菌目的で使用。 |
日々のメンテナンス | ほとんどの製品がメンテナンス不要もしくはカルシウム結晶の除去作業程度。 | 比較的頻繁にメンテナンスが必要。 |
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