オゾンは脱臭除菌・ウイルス不活化の効果が高いのに、残留性がなく安全性が高いため、厚生労働省からも食品添加物として認められています。そのため、オゾンは脱臭除菌・ウイルス不活化を目的に、医療施設や一般家庭、介護施設、宿泊施設、教育施設、清掃業など、実に幅広いシーンで、私たちが快適かつ安全に暮らしていけるよう支えてくれています。
一方、オゾンには物質としての有害性があることも事実で、オゾンの特性や濃度管理を無視して利用すれば、健康被害につながることがあります。夏によく耳にする「光化学スモッグ注意報」は、日差しの強い暑い日に発令されます。光化学スモッグとは、オゾンやアルデヒドなどの気体と、硝酸塩や硫酸塩などの個体が混合して、スモッグのようになることです。主に発生するオゾンの影響が強く、光化学スモッグは目やのどの痛み、さらには頭痛やめまい、酷い時には、呼吸困難や嘔吐まで引き起こしてしまうケースがあるので、十分注意が必要です。
とはいえ、それらの症状は一般的に家庭用製品のレベルでそうなるものではありませんのでご安心下さい。
ここのところ、コロナの影響で初めてオゾン発生器を導入する方も多く、全体のお問い合わせ件数の増加に比例して「オゾン発生器は体に悪いのか」「オゾンは危険だと聞いた」などのお問い合わせも一定数いただきます。
本ページでは、オゾンの理解を深めてもらうために、オゾンの安全性と危険性の問題を切り分けて詳しくご説明します。オゾン発生器やオゾン水生成器の導入前にお読みいただき、より安全にご利用いただければ嬉しく思います。
オゾン発生器は体に悪いのか
「オゾン発生器は体に悪いと聞きました」「オゾン発生器は人体に(悪)影響ありませんか?」初めてオゾン発生器という機器の導入を検討している方々かと思われますが、こういうご質問をしばしばいただきます。
◯◯は体に悪いのか
◯◯の中に、何でもいいので、言葉を入れてみて下さい。
あなたが◯◯の中にどのような言葉をイメージしたか分かりませんが、おそらくそれは「量や濃度によっては安全でもあり、危険にもなり得る」という解になるでしょう。つまり、前提条件なしにただ漠然と「○○は体に悪いのか(または良いのか)」と考えても意味がありません。
この場合、「オゾン発生器」と「オゾン」に切り分けて、その危険性あるいは安全性を確認するのが適切です。
そうでなければ、どちらか一方が危険で、もう一方が安全であった場合、安全性を第一に考えるのであれば「危険である」という答えになってしまうからです。
オゾン発生器とひとくちにいっても、家庭用から業務用、日本製から海外製、オゾン専業メーカーによる自社オリジナル、OEM商品と実にさまざまであり、その品質もピンからキリまであります。
ですから、これもまた「オゾン発生器」とひと括りに考えるべきではないでしょう。(オゾン発生器に限らず、安全性が高い製品もあれば、そうでないものもあるということは想像できるかと思います)
次に、「オゾン」という物質に危険性があるのか否かですが、答えは「Yes」です。
しかし、オゾンは無条件に危険なのかと問われれば、答えは「No」になります。
では、どのような場合にオゾンが危険になり得るのか、少し掘り下げて確認してみましょう。
オゾンの危険性
後述しますが、オゾンは食品添加物として認められている安全性がある一方、物質としての有害性があることを忘れてはいけません。そのため、オゾンはその特性や濃度管理を無視して利用すると、危険なこともあります。
たとえば、1〜2ppmのオゾン濃度の場合、2時間曝露で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きとせきが起こり、曝露を繰り返せば慢性中毒にかかります。
ちなみに、私たちが日頃吸っている空気にも微量ながらオゾンは含まれており、地上で約0.005ppm、緑が多い森林などでは0.005~0.03ppm、他にもオフィスの大型コピー機などの周辺では極微量のオゾンが発生されています。
※地上で観測されるオゾン濃度は最高でも0.03~0.05ppmといわれています。
つまり、オゾンの危険性はそのオゾン濃度に依存するということです。
パラケルススこと「本名:テオフラストゥス・(フォン)・ホーエンハイム」
「医学界の祖」「医学界のルター」「毒性学の父」などと呼ばれるスイスの医師・医化学者。
スイスの医師パラケルススはこう言いました。
「すべての物質は毒であり、薬である。量が毒か薬かを区別する。」
たとえば、医薬品は適量を守れば「良薬」ですが、適量を過ぎれば「毒薬」となるのです。
つまり、大事なことは毒性の限界値の見極めなのです。
しかし、中には、このように考える人もいるかもしれません。
「水だったらどれだけ飲んでも無害ではないか」
「酸素なんていくら吸っても問題ないだろう」
こちらの表をご覧下さい。左が物質、右が過剰摂取したときの症状です。
物質 | 過剰摂取すると |
---|---|
アルコール | 急性アルコール中毒。意識の混濁、昏睡、血圧の低下、呼吸の抑制、失禁、記憶の抜け落ち(ブラックアウト)、アルコール性低血糖等。 |
食塩 | 食塩中毒。塩分は生命維持のため、必要不可欠な栄養素である。しかし、過剰摂取は、時に生命を脅かす。イギリスで報告された食塩中毒の例では、12例中11例が「生後1.5カ月から9カ月の乳児」で、うち2例で死亡し、その摂取量は10g(小さじ2杯分)程度だった。成人では食塩200gを摂取して死亡した例もあり。塩分過剰摂取後の症状は、嘔吐、下痢、発熱、頭痛、口喝、意識障害、痙攣等。 |
砂糖 | 急性糖尿病。糖分を過剰摂取するケースといえば、スポーツ飲料などの過剰摂取によって引き起こされるペットボトル症候群。急性糖尿病の症状としは他に、体がだるくなる、喉が渇きやすくなるだけではなく、昏睡状態に陥ることもある。急性糖尿病は清涼飲料水からだけとは限らない。市販で売られている飲料水には飲みやすさを考慮してかなりの糖質が含まれていることが多く、手軽に飲めることから知らず知らずのうちに過剰な糖分を摂取していることがあるので注意が必要。 |
水 | 水中毒。多飲により腎の処理能力を超えると電解質バランスが崩れて希釈性低ナトリウム血症が生じ、軽症では疲労感、頭痛、嘔吐、浮腫、重症では脳浮腫による痙攣、錯乱、意識障害等、肺水腫やうっ血性心不全等の身体障害を起こし、死に至ることもある。 |
酸素 | 酸素中毒。超高分圧の酸素を摂取した場合、またはある程度高分圧の酸素を長期にわたって摂取し続けることによって、身体に様々な異常を発し最悪の場合は死に至る。特にスクーバダイビングなど、空気あるいは混合ガスを用いての潜水時に起こりやすい。 |
カフェイン | カフェイン中毒。2011年度からの5年間に少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止となり、うち3人が死亡したことが、日本中毒学会の調査で分かった。 |
カリウム | 高カリウム血症。カリウムは汗や尿と一緒に体外に排出されるため、たとえ多く摂取したとしても、その分を適切に排出することができる。しかし、腎臓機能に障害のある方はカリウムの排出がうまく行われないので、制限する必要がある。尿と一緒に排出できずにどんどん蓄積されると、高カリウム血症を引き起こし、嘔吐やしびれ、脱力感、不整脈など非常に重い症状があり、心停止に至る危険性がある。 |
タンパク質 | タンパク質の過剰摂取で健康を損なってしまったという十分な研究結果はないが、好ましくないさまざまな代謝変化が生じたという報告があるのは周知の事実。内蔵疲労、尿路結石のリスク、腸内環境の乱れ、口臭悪化、情緒不安定、腎臓異常、体重増加等。 |
ナツメグ | 世界4大スパイスのひとつに数えられる「ナツメグ(nutmeg)」は、過剰摂取により死亡例もある。過剰摂取すると、循環器系では、頻脈、胸部圧痛、低血圧、ショック症状。呼吸器系では、不規則な呼吸。神経系では、長時間のめまい・興奮・不安、頭痛、幻覚、多幸感、四肢脱力感等。他にも、口腔内乾燥、嘔吐、縮瞳等がある。中毒量は、ナツメグ5g~15g(茶さじ9杯/日で中毒症状の報告あり)であり、最小致死量は、ナツメグ2個とされている。 |
ご理解いただけたでしょうか?
どのような物質も「安全」ではない。「安全な物質」はなく、「安全な量」や「安全な濃度」があるだけなのです。
オゾンが危険だというのは、あくまでも度を越したオゾン濃度の環境下にいかなる症状があっても、それを無視して長時間滞在した場合に限ります。
オゾンの優れた性質が広く理解されているオゾン技術の先進国でもあるフランスでは、オゾンが医療等幅広い分野で活躍し、オゾン治療に対する保険も適用され、一般家庭にまで普及しています。
しかし、日本が日本産業衛生学会の基準を参考にしているようなオゾン濃度に対する厳格な基準や取り決めはありません。
何故なら、「オゾンには特有のニオイ(いわゆる『オゾン臭』)があるため、人間は危険を察知して回避することができる」ことと、「オゾンの影響は個人差が大きく、我慢できなくなった濃度がその人の基準であり、ここからは危険であると単純に線引きできるものではない」と考えられているからです。
お酒を例に考えても、コップ1杯で酔っ払ってしまう人もいれば、元横綱・武蔵丸のように一晩でビールを200本飲んでしまう人もいます。これはどう考えても「個人差」があると考えるのが普通です。
お酒を一気に多量に飲めば、血中アルコール濃度が急上昇し、急性アルコール中毒を引き起こすことは多くの方がご存知のとおりですが、血中アルコール濃度が0.4%を超えた場合、1〜2時間で約半数が死亡することはあまり知られていません。(急性アルコール中毒の死亡率はきわめて高いのです)
オゾンについてもこれと同じことがいえます。その個人差を考慮すれば、本来は、◯◯◯ppm以上は危険である。あるいは安全であると線引できるものではなく、個人差を考慮して臨機応変に対応する必要があるのです。
オゾンには物質としての有害性があるとはいえ、濃度管理を一切無視したり、刺激を感じても、我慢しつづけその場に長時間滞在するなどしなければ、危険性はありません。
繰り返しになりますが、「量や濃度を無視して安全なものはない」ということであり、大切なのは個人差を考慮したうえで、濃度や用法・用量を守ってそれを利用することなのです。
つまり、「オゾン=危険」という考えは、「塩・砂糖=危険」「お酒=危険」「水=危険」「酸素=危険」と主張しているようなものなのです。
オゾン濃度についての詳しい内容を知りたい方は「適切なオゾン濃度」も参考にして下さい。
ここまでは「こうしたら安全です!」「安全のためには◯◯に注意してください!」という切り口で説明しましたが、ユーザーからの「オゾン濃度や小難しいことは抜きにして、こうしたら危険だよ!というを書いてくれると分かりやすい」というお声のもと、「こうしたら健康被害を受ける可能性あり」という事項について下記にまとめます。
こうしたら健康被害を受ける可能性あり | その理由 |
---|---|
業務用オゾン発生器を有人環境で使用する | 業務用オゾン発生器はオゾン発生量が多量であり、そもそも人や動物がいない環境下で使用する機器のため、家庭用オゾン発生器と比較して、オゾン発生量が桁違いに多量です。 仮に、誤った認識でそうしたとしても、オゾン臭が「やや強い」→「強い」→「刺激臭」と段階的にキツくなってくるなかで、喉がイガイガしたり目が痛くなったりします。どのような症状が出ても、我慢し続けてその場に長時間滞在する人はいないでしょう。 |
機器のオゾン放出口に直接顔(鼻)を近づける行為 | オゾン発生量の多い少ないに関係なく、オゾン発生器のオゾン放出口に直接顔を近づけてニオイを嗅ごうとすると、機器から放出された濃度が高めのオゾンを直接吸引することになります。少しくらいでどうこうなることはありませんが、長時間そうした場合、何らかの健康被害を受ける可能性はあります。 |
家庭用オゾン発生器の適用範囲を無視する | 業務用オゾン発生器の場合、基本的には「大は小を兼ねる」が有効ですが、家庭用オゾン発生器の場合はそうではありません。家庭用オゾン発生器の適用範囲は天井高2.5mでその対象空間の安全なオゾン濃度が算出され、設定されています。つまり、「適用範囲8〜30畳」となっている製品を4畳半で使用すれば、意図せずオゾン濃度が高くなり、人や動物がいる環境下では使用を推奨しないオゾン濃度になってしまう可能性があります。 |
機器を正しく取り扱わない | これは特に、家庭用オゾン発生器についてです。 家庭用オゾン発生器は、製品によって異なりますが、たとえば「稼働開始後、はじめの10分間はオゾン発生量が比較的多く、以降、オゾン発生量を少量放出・停止を繰り返す」という仕様が少なくありません。そこで、ごく稀にですが、できる限り多量のオゾンを放出させたいがために、機器の電源を入れ直すなどして、その「はじめの10分間」を繰り返そうとする方がいます。それは製品の正しい使い方でもありませんし、適用範囲から計算されているオゾン濃度を超過する可能性があるので絶対にやめて下さい。場合によってはその行為が健康被害につながることもあります。 |
たとえば、寒い冬、その温もりに一度慣れてしまうと手放せないアイテムの1つに湯たんぽがあります。
沸かしたお湯を湯たんぽに入れるわけですが、湯たんぽの使い方を知らずに、湯たんぽに水を入れてからストーブの上で温めたり、電子レンジで加熱してしまう人がいます。当然、湯たんぽは破裂します。湯たんぽが破裂し、その際周囲に熱湯が飛び散り火傷をする人がいることをご存知でしょうか?
本来、安全なものも、使い方を誤れば危険になるわかりやすい例だと思います。
業務用・家庭用問わず、オゾン発生器も同様です。
消費者庁によりますと、全国の医療機関などから報告された湯たんぽに関する事故は、ことし10月までのおよそ5年間で130件余りに上っていて、治るまでに1か月以上かかるやけどをおったケースも少なくとも31件あったということです。
NHK NEWS WEB(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201216/k10012767281000.html)
日本産業衛生学会
許容濃度4) 0.1 ppm(0.2mg/m3)
労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度。
①アメリカ合衆国食料医薬品局(FDA)
0.05ppm(24h)(最大許容濃度)
②日本空気清浄協会
オゾンを発生する器具による室内ガスの許容濃度
(設計基準/暫定)
最高0.1 ppm/平均0.05ppm
「オゾン利用に関する安全管理規準」(平成17年3月)に、「オゾン発生設備が収納されている室のオゾン濃度が0.1ppmを超えた場合、警報を発する手段を講じること。」など、業務用のオゾン発生設備等の安全な利用についてまとめられている。
労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度。
オゾンは、家電製品にも広く利用されているが、安全性への配慮もされている。エアコンや冷蔵庫では、製品内部の脱臭、除菌等を目的としてオゾンが利用されているが、各メーカーでは、基本的にオゾンが室内には漏れ出ないような構造にしており、万が一漏れ出た場合にも、0.05ppm以下に設定している。
オゾン濃度(ppm) | 主な自覚症状 | 臨床所見 | 作業内容 | 文献 |
---|---|---|---|---|
0.25 | なし | – | ガスシールド溶接 | Kleinfeld |
0.3-0.8 | 喉の刺激 | なし | 同上 | 同上 |
0.9 | 喉の刺激・頭痛・疲労 | – | 同上 | 同上 |
0.8-1.7 | 口や喉の渇き・鼻や目の刺激・胸部圧迫感 | – | トリクロロエチレン溶接 | Challen |
0.47 | 粘膜刺激 | – | – | Flury.Zernik |
0.94 | 強い粘膜刺激・眠気 | – | – | 同上 |
0.94 | 脈拍数増加・眠気・頭痛 | – | – | 同上 |
0.1-0.6 | 胸骨下の痛み・咳や粘膜刺激 | なし | 航空機飛行 | Reed |
1.05-1.27 | なし | PF値 V75.V50.V25. 低下 | ガスシールド溶接 | 大森ら |
0.40-0.46 | なし | PF値 V75.V50 低下 | 同上 | 同上 |
0.28 | なし | PF値 V75 低下 | 同上 | 同上 |
出典:平成15年度省エネルギー型廃水処理技術開発報告書(NEDO)
産業現場におけるオゾン暴露の報告はほとんどが溶接作業によるものである。
空気中濃度(ppm) | 影響 |
---|---|
0.1 | 臭気を認めうる |
0.1-0.3 | 呼吸器の刺激 |
0.4 | 気道抵抗の上昇 |
0.8-1.7 | 上気道の刺激症状 |
1.0 | 咳嗽(がいそう)、疲労感 |
1.5 | 2時間で時間肺活量の20%減少、咳嗽、胸痛、精神作用減退 |
9.0 | 呼吸困難、肺うっ血 |
1700以上 | 数分間で死亡 |
空気中濃度(ppm) | 影響 |
---|---|
0.01 | 敏感な人の嗅覚閾値 |
0.01-0.015 | 正常者における嗅覚閾値 |
0.06 | 慢性肺疾患患者における嗅気能に影響ない |
0.1 | 正常者にとって不快、大部分の者に鼻、咽喉の刺激 |
0.1-0.3 | 喘息患者における発作回数増加 |
0.2-0.5 | 3~6時間暴露で視覚低下 |
0.23 | 長期間暴露労働者における慢性気管支炎有症率増大 |
0.4 | 気道抵抗の上昇 |
0.5 | 明らかな上気道刺激 |
0.6-0.8 | 胸痛、咳、気道抵抗増加、呼吸困難、肺のガス交換低下 |
0.8-1.7 | 上気道の刺激症状 |
1.0-2.0 | 咳嗽、疲労感、頭重、上部気道の乾き、2時間で時間肺活量の20%減少、胸痛、精神作用減退 |
5-10 | 呼吸困難、肺うっ血、肺水腫、脈拍増加、体痛、麻痺、昏睡 |
50 | 1時間で生命の危険 |
1,000以上 | 数分間で死亡 |
6,300 | 空気中落下細菌に対する殺菌 |
念のため補足説明しておきますが、そのオゾン濃度に触れた場合、それが直ちに影響を及ぼすものではありません。
上記表では、0.01-0.015ppmの超低濃度のオゾン環境で一般的な人はオゾン臭を感じます。0.1ppmというと不快なレベルでそのオゾン臭を感じます。
0.1ppmのオゾン濃度で、個人差はありますが数十分〜1時間程度で咽喉の刺激を感じる人が出てきますが、その手前に「不快に感じる」という段階があるため、それを我慢してその空間に滞在し続ける人はいないことは想像できるかと思います。
そもそも人やペットがいる環境で使用する家庭用オゾン発生器では0.01〜0.05ppm程度がせいぜいです。
一方、無人環境で使用する業務用オゾン発生器の場合、その空間に人や動物はいませんから、これもまた人やペットがオゾンの影響を受けることはありません。
オゾンの安全性
オゾンの安全性を理解してもらう方法はたくさんありますが、ここでは学術論文的な小難しい説明は避け、より多くの人がその安全性をイメージしやすいように食品添加物を例に説明したいと思います。
食品添加物は、豆乳を凝固させて豆腐を作るための豆腐用凝固剤であったり、ゼリーやプリンの食感を持たせるゲル化剤、甘味料、酸味料、苦味料、うま味などをつける調味料、香料、着色料、発色剤などとして利用されています。
かまぼこなどの日持ちをよくする保存料であったり、インスタントラーメンなどの油脂の酸化を抑えるビタミンE(酸化防止剤)、果物のカビの発生を防ぐ防カビ剤としても使用されています。また、食品添加物には、食品の保存性を高めだけではなく、食中毒を防ぐ目的があることも忘れてはいけません。
食生活は十人十色ではありますが、これまで食品添加物を一切口にせず生活してきたという消費者はきわめて少ないはずです。
言ってしまえば、厚生労働省によって定められた食品添加物は(摂取量を無視しなければ)私たちの身をもって、安全であることを証明していると考えて差し支えないでしょう。
当サイトにおける「食品添加物」とは、食品衛生法で定義される食品添加物を指します。
食品添加物
東京都福祉保健局「食品添加物とは」から(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/shokuten1.html)
添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物。
そして、この食品添加物というのは、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会、内閣府食品安全委員会、添加物専門調査会などによって、とても厳しく管理されています。(純度や成分についての規格、使用できる量等)
その食品添加物(既存添加物)に、オゾン(O3)は認められています。
オゾンが何故、厚生労働省が定める食品添加物として認められているのかというと、効果(除菌効果等)と安全性(残留性がないこと)が確認されているからです。
もし、その効果や安全性が無視されていれば、今頃、厚生労働省が定める食品添加物リストには、ありとあらゆるものが認められ、その安全を国家が保証することがないであろうことは想像していただけると思います。
よって、オゾンは安全だといえるというのが1つの立証となります。
オゾンが与える人体への影響や、オゾン発生器の危険性・安全性については次の記事も参考にして下さい。
食品添加物の話とは異なり、今度は「こんなにたくさんの場所に導入され、多くの人たちがすでにオゾン発生器を利用しているから安心」という点についてご紹介します。
【オゾン発生器の利用シーン】
現在、オゾン発生器は次のようなシーンで利用されています。
利用シーン | 導入した目的 |
---|---|
一般家庭 | 消臭・除菌・感染対策 |
児童福祉関連業 | 除菌・感染対策 |
飲食店関連業 | 消臭・除菌・感染対策(または有効な感染対策を行うことによる集客等) |
宿泊施設関連業 | 消臭・除菌・感染対策(または有効な感染対策を行うことによる集客等) |
自動車関連業 | 消臭・除菌 |
清掃関連業 | 消臭・除菌・感染対策 |
医療福祉関連業 | 除菌・感染対策 |
食品関連業 | 除菌・感染対策 |
ペット関連業 | 消臭・除菌・感染対策 |
不動産関連業 | 消臭・除菌 |
研究全般 | 除菌・ウイルスの不活化に関する研究等 |
冠婚葬祭関連業 | 消臭・除菌・感染対策 |
特に、2020年1月以降、コロナの影響によって急激にオゾン発生器の導入件数が増加したのは、プロのサッカーチームやラグビーチーム、野球チームなどのスポーツ関連業と、幼稚園や小学校・塾などの教育施設です。
スポーツ関連施設に導入されたオゾン発生器は、主にメディカルルームやロッカーなどで使用され、教育施設では、生徒がいる時間帯には、人がいる環境下でも安全に使用できる家庭用オゾン発生器、人がいない時間帯には業務用オゾン発生器で集中的に除菌・ウイルス不活化をし、感染対策目的で使用されています。(上画像はいずれも無人環境で使用する業務用オゾン発生器「オゾンクラスター1400」)
一般的な業種でさえ、今はコロナ以前の10倍ほどの需要となっていますが、スポーツ関連業と教育施設においては、それ以上の伸び率に感じます。
その他、感染対策を主な目的として救急車等の緊急車両や病院の待合室、診察室、病室などに導入されたり、区・市・県といった自治体なども除菌や感染対策を目的にオゾン発生器を導入する事例が非常に増えています。
「こんなにたくさんの人たちがオゾン発生器を利用している」からといって、無条件かつ絶対的な安全を保証(※)するわけではありませんが、導入を検討するうえで、これは1つの安心材料になるのではないでしょうか。
※水や酸素ですら摂取量を誤れば死亡例があります。
本ページをお読みになり、オゾンの危険性や安全性について少しでもあなたの理解が深まったのであれば嬉しく思います。