日常生活や仕事場で使える3大殺菌剤といえば「オゾン水、アルコール、次亜塩素酸水」ですが、どれが最も優秀なのでしょうか。
その答えを出すことは簡単ではありません。3つの殺菌剤にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
例えば、アルコールが不向きな場所をオゾン水で消毒する、といった使いわけをすることで効果的な殺菌が可能になります。殺菌作業をする人は、オゾン水、アルコール、次亜塩素酸水の性質を知っておき、常に最適な殺菌剤を選択できるようにしておきましょう。
そもそも殺菌とは、有能な殺菌剤とは
3つの殺菌剤を解説する前に、そもそも殺菌とは、どのような行為なのか解説します。
殺菌とは、病気を引き起こす「病原性微生物」や、人の健康を害する「有害微生物」を殺すことをいいます。
微生物には、ウイルス、細菌、真菌、原虫がありますが、すべてが病原性だったり有害だったりするわけではありません。人にとって有益な微生物もたくさんあります。
したがって殺菌剤の有能さは、病原性微生物と有害微生物だけを叩き、有益な微生物は叩かない能力を持っているかどうかで決まります。
また、微生物が付着している対象物に損害を与えないことも、殺菌剤には求められます。
病原性微生物が問題になるのは、それが付着している対象物が機能しないときです。
例えば、新型コロナウイルスは、世界中を恐怖に陥れた病原性微生物ですが、これが森のなかに存在し人間界に入ってこなければ、殺菌する必要はありませんでした。
新型コロナウイルスを殺菌しなければならないのは、それが人の体内に入って、肺炎などを引き起こすからです。
このとき、新型コロナウイルスを確実に殺菌できても、同時に人体にまで損傷を与えてしまう殺菌法は、採用できません。
新型コロナウイルス向けの殺菌剤(厳密に言うと不活化する液体)は、「コロナを殺菌しながら、人の健康を害さない」ものでなければなりません。
例えば、アルコールで野菜を洗うと殺菌できますが、同時に野菜が傷んでしまいます。オゾン水なら、野菜を殺菌しながら鮮度を落としません(オゾン水には鮮度保持効果がある)。
殺菌作業では、このような選択が必要になります。
オゾン水、アルコール、次亜塩素酸水の殺菌能力を測るときは、次のことに注意します。
- どの微生物(ウイルス、細菌、真菌、原虫)を殺すのが得意なのか
- 微生物が付着している対象物に損害を与えることはないか
この2点に注意しながら、3つの殺菌剤の特徴をみていきましょう。
オゾン水の特徴
オゾン水とは、気体のオゾン(O3)を水に溶け込ませた液体です。
ここではオゾン水・アルコール・次亜塩素酸水の比較を目的にしているため、必要だと思われる部分のみをピックアップしています。より詳しくオゾン水を知りたい方は「オゾン水の特徴」をご覧下さい。
オゾン水の原料になるオゾンは自然界にも存在しますが、それを採取することは困難です。オゾン水をつくるには、人工的にオゾンをつくらなければなりません。
オゾンの原料は、酸素(酸素分子、O2)で、化学反応式は次のようになります。
3O2→2O3
3個の酸素分子で2個のオゾン(分子)をつくることができます。
地球の上空30~50キロほどの位置に成層圏があり、その一部にオゾンが濃い空間があり、そこをオゾン層と呼びます。
オゾン層では、酸素が、雷が放つ電気や太陽光のなかの紫外線に刺激され、オゾンがつくられています。
人工的にオゾンをつくるときも、酸素に電気を当てます。
オゾンは不安定な状態であり、しばらくすると酸素に戻ってしまいます。
オゾン水は今、さまざまなシーンで殺菌剤として使われています。
- 白内障の手術の前に、患者の目をオゾン水で洗浄する
- トイレに小型のオゾン水製造装置を内蔵させて、便器を洗う
- 病院内の医療器具、机、椅子などの殺菌
- 野菜や魚などの洗浄
- 包丁やまな板、シンク、食器などの調理器具の殺菌
- 精密機器の部品の洗浄
これまでアルコールや次亜塩素酸水などを使っていた企業や病院が、オゾン水に切り替えるケースも増えています。
アルコールには、手荒れの原因になったり燃えやすいという欠点があり、次亜塩素酸水には、塩素の発がん性という重大な問題があります。
オゾン水にはこうした欠点がありません。
オゾン水が細菌などの微生物を殺すメカニズムをみていきましょう。
不安定なオゾンは、安定した酸素になろうとします(2O3→3O2)。この化学反応が水(水分子、H2O)のなかで起きると、酸素原子(1個のO)が水分子から水素原子(1個のH)を奪います。すると「OH」ができ、これを「OHラジカル」と呼びます。
O3+H2O→O2+OH+OH
OHラジカルには、「電子が不足している」という性質があります。この性質によってOHラジカルは、近くの他の物質から「電子を奪う」行動に出ます。
電子が奪われると、その物質は分解してしまいます。オゾンは、細菌の細胞壁を壊し、細胞内の染色体DNAを損傷し、細胞の生存に必要な酵素の活性を低下させます。つまり、徹底的に細菌を殺します。
これが、オゾン水の殺菌のメカニズムです。
オゾンには消臭効果もあり、そのメカニズムは、殺菌のメカニズムとは異なります。オゾンは、悪臭の原因となっている物質を、性質の異なる物質に変えて臭いを断ちます。
悪臭はさまざまな物質が混ざり合ってできますが、なかでも硫化水素は多くの悪臭の原因になっています。
硫化水素がオゾンと接触すると、硫黄(いおう)と水と酸素になります。化学反応式は次のとおりです。
H2S(硫化水素)+O3(オゾン)→S(硫黄)+H2O(水)+O2(酸素)
「硫黄も悪臭を放つはず」と思われるかもしれませんが、それは温泉地をイメージしているからではないでしょうか。実は、硫黄(S)は無臭で、温泉地で臭っているのは硫化水素なのです。
オゾン水のつくり方には、バブリング式と低電圧電解式の2通りあります。
バブリング式は、オゾン発生器で生成した気体のオゾンを、水のなかに投入してオゾン水をつくる方法です。
バブリング式では、投入した気体オゾンがすべて水と混ざるわけではないので、高濃度にすることができません。
低電圧電解式は、水に電圧をかけて、オゾンを発生させる方法です。電気の力で、水の成分の酸素(酸素分子、O2)をオゾンに変えます。
発生したオゾンが水と混ざり合ってオゾン水ができます。
この方法のほうが、高濃度のオゾン水をつくることができます。
オゾン水の殺菌剤としてのメリットはたくさんあります。
- 殺菌力が強い
- 自然に酸素に戻るので、殺菌が終わったら放置するだけで無害になる
- 原料(酸素または水)は無尽蔵にある
- 薬害がない
- 耐性菌をつくらない
- 細菌の芽胞に対しても殺菌効果がある
オゾン水の殺菌力は、強すぎることが短所になるくらいの威力があります。細菌もウイルスも、短時間で殺すことができます。
オゾン水中のオゾンは、自然に酸素に戻るので、後処理が必要ありません。次亜塩素酸水などの塩素系は残留性が高いので、殺菌したあとでしっかり洗い流す必要がありますが、オゾン水殺菌ならその手間が要りません。
オゾン水の原料である酸素または水は、無尽蔵に存在します。オゾンやオゾン水をつくるには特別な装置が必要なので、初期投資は安いわけではありません。しかし、装置さえ買ってしまえば、原料の調達コストは安いので、製造コストも抑えることができます。
オゾン水は薬剤を使わないので、薬害がありません。
耐性とは、殺菌剤に負けない力のことです。細菌やウイルスは、一時的に殺菌剤に負けても、生き残る術を見つけて、耐性を身につけることがあります。ある殺菌剤の耐性を身につけた耐性菌は、もうその殺菌剤では殺せません。例えば、耐性菌によって抗生物質が効かなくなることが、医療界で大きな問題になっています。
抗生物質は、細菌をワンポイントで攻撃するだけなので、細菌に遺伝子をつくりかえる余裕を与えてしまい、それで耐性菌がつくられてしまいます。
しかし、オゾン水で殺された細菌は、耐性菌をつくることができません。オゾンは細菌の染色体DNAを損傷するので、徹底的に細菌を殺すことができ、耐性菌を生み出す余裕を与えないからです。
芽胞とは、細菌のバリアのようなものです。一部の細菌は、高温や低温、乾燥など、生存に適さない環境下に置かれると、芽胞という堅い殻をつくって休眠状態に入ります。そして、生存に適した環境に変わると、芽胞から細菌が発芽して、再び活動し始めます。
オゾン水は芽胞のなかに入った殺菌をも殺します。
オゾン水のデメリットは次の2点です。
- 気体としてのオゾンは毒性がある
- 短時間で酸素に変わってしまうのでつくり置きできない
高濃度の気体オゾンを人が長時間吸い込み続けると健康被害につながります。これまでは気体オゾンのコントロールが難しかったことから、オゾン水の利用を躊躇することもありました。
しかし最近は、先ほど紹介したとおり、オゾン水生成器を小型化してトイレに内蔵できるほど技術が進化しました。安全性も確保できるようになりました。
オゾンは自然に酸素に戻って殺菌効果が失われるので、オゾン水はつくってすぐに使わなければなりません。保管の便利さについては、アルコールに分があります。
アルコールの特徴
アルコールは酒と呼ばれたりエタノールと呼ばれたりしますが、この3つはほぼ同じ意味です。エタノールは、アルコールの一種で、酒に含まれるアルコールのことを、エタノールといいます。
アルコールは化学的には「炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(-OH)で置き換えた化合物」と定義されます。
代表的なアルコールであるエタノールの化学式は「C2H5OH」で、「語尾」に「OH」(ヒドロキシ基)があります。
アルコールは人類にとってとても便利な液体です。それはアルコールには、無色、揮発しやすい、燃えやすい、有機物を溶かしやすい、という性質があるからです。「揮発」とは、常温で液体が気体になることです。燃える液体は、揮発しやすいほど燃えやすくなります。それでアルコールは燃料に使われることがあります。
有機物を溶かしやすいことから、アルコールは溶媒としても重宝されています。例えば、塗料は、アルコールに色の物質を混ぜたものです。
そしてアルコールといえば、飲料でしょう。アルコールは胃や小腸で吸収されて血液に溶け込み、それが脳に回って脳を麻痺させます。それが「酔った」状態です。
さらに殺菌作用もあります。
アルコールは人気のある殺菌剤です。
医療現場では、人の体(生体)から、医療器具や机、椅子、ベッドまで、なんでもアルコール洗浄しています。
食の領域でも、食材の洗浄や加工場の殺菌、飲食店のテーブルの消毒で、アルコールが使われています。
エタノール(アルコール)は、濃度が40%を超えると急激に殺菌効果が高まり、約70%で最高の殺菌力になります。エタノール濃度が80%を超えると、殺菌効果が低下します。
細菌がアルコールに触れると、細菌の細胞膜が壊れたり、穴が開いたりします。それで細菌の内容物が漏れ出て死滅します。ただ、なぜアルコールが細菌の細胞膜を壊すことができるのかは、わかっていません。
またアルコールには、細菌が栄養を取り込もうとするのを邪魔する作用もあります。それで細菌が餓死します。
アルコールは、デンプンや果実に、酵母や細菌を加えて発酵させることでつくることができます。そのままでも酒として楽しめますが、それを蒸留すると、さらにアルコール濃度が高くなります。
殺菌に使われるアルコールは、合成アルコールといい、まったく別の方法で製造します。
合成アルコールの製造法には、直接水和法と間接水和法があります。
<直接水和法>
エチレン(C2H4)+水(H2O)→エタノール(C2H5OH)
<間接水和法>
エチレン(C2H4)+硫酸(H2SO4)→硫酸エステル(C2H5OSO3H)
硫酸エステル(C2H5OSO3H)+水(H2O)→エタノール(C2H5OH)+硫酸(H2SO4)
直接水和法によるエタノール(アルコール)のつくり方を紹介します。
圧縮されたエタノールと、ガスを混ぜて250度にまで加熱した純水を混ぜて「粗アルコール」をつくります。
粗アルコールから、エチルエーテルやアセトアルデヒドといった不純物を除去して、エタノール度数を95%以上にします。
そのあと、水分を抜き取る脱水剤「ノルマルペンタン」を加えることで「無水アルコール」という超高濃度のエタノールが完成します。
このあと、各メーカーがアルコール濃度を調整するわけです。
消毒液としてのアルコールのメリットは次のとおりです。
- 殺菌スピードが速い
- 殺菌スピードをコントロールできる
- 殺菌できる微生物の種類が多い(さまざまな微生物を殺すことができる)
- 耐性菌ができない
- 残留性がない
- 毒性が弱い
- 血液などの有機物によって効果が低下しにくい
殺菌スピードの速さは、殺菌剤として大きな魅力です。また、アルコール濃度を変えることで、効果を出すスピードをコントロールすることができます。
例えば、濃度80%のアルコールなら、5分以内に細菌の細胞を破壊することができますが、8~20%にまで落とせば、30分~48時間かけて細菌を殺すことができます。
アルコールで殺すことができる微生物の多さも魅力です。細菌からウイルスまで、幅広く対応します。
オゾン水同様、アルコールも耐性菌をつくりにくい物質です。アルコールは短時間で細菌やウイルスなどを破壊するので、微生物に耐性を持つ「隙(すき)」を与えません。
アルコールは揮発性が高いので、殺菌したあとに残りません。「殺菌力=毒性」が残留しません。
ヨードやオキシドールなどの消毒剤は、血液や体内分泌物などの有機物に触れると、殺菌力が低下してしまいます。しかしアルコールには、有機物と混ざっても殺菌力が低下しにくい性質があります。
アルコールのデメリットは次のとおりです。
- 細菌の芽胞に対して殺菌効果がない
- 低温の場所で殺菌効果が低下する
- 揮発することによってアルコール濃度が低下して、殺菌効果が下がる
- 燃えやすく危険
- 材質を変質させたり変色させたりする
- アレルギーがある人が使うと、かゆみや発疹が起きたり、呼吸困難に陥ることもある
- 手荒れの原因になる
- オゾン水とは異なり、ノロウイルスやロタウイルスにはほとんど効果が期待できない
オゾン水は、細菌の芽胞にも殺菌効果がありましたが、アルコールにはありません。
芽胞ないの細菌を殺すことができないので、「しっかりアルコール消毒したのに、後日、細菌が増殖した」という現象が起こり得ます。
次亜塩素酸水の特徴
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムと名前が似ていますが、別物です。次亜塩素酸ナトリウムも殺菌剤の1つですが、こちらは、他の液体と混ぜると毒ガスを発生させるなど、取り扱いが難しい薬品です。漂白剤のハイターに入っているのが、次亜塩素酸ナトリウムです。
この記事では、取り扱いが楽な次亜塩素酸水について解説します。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を主成分とする液体で、食品添加物としても使われているほど、安全な物質です。
次亜塩素酸の科学式は「HClO」と書き、1個の水素原子(H)と1個の塩素原子(Cl)が、1個の酸素原子(O)に結合した構造を持ちます。
次亜塩素酸は安全性が高いのですが、塩素はとても危険な物質です。塩素濃度900ppmの空間に人が入ると即死します。ppmは、百万分の1という意味です。
次亜塩素酸水は無色透明で、無臭または、わずかに塩素の臭いがすることがあります。
次亜塩素酸水は、厚生労働省が「食品添加物殺菌料」として指定しているので、カット野菜の工場や、生食用の鮮魚を扱う店、冷凍食品の工場などで洗浄剤として使われています。ただし、殺菌後に次亜塩素酸水をしっかり落とす必要があります。
日本農林規格によって、次亜塩素酸水は、有機農産物をつくるときの使用可能農薬になっています。
また、薄い次亜塩素酸水なら、人が触っても飲んでも問題ありません。それで手洗いや、うがいに次亜塩素酸水を使うこともあります。
次亜塩素酸水に含まれる塩素は、高い殺菌能力を発揮しますが、危険な物質なのでできればあまり使いたくありません。そこで次亜塩素酸水に光が当たりました。
次亜塩素酸水のほうが、次亜塩素酸ナトリウム液より、塩素濃度が薄い状態で殺菌効果を発揮します。
次亜塩素酸水の製造装置メーカーによると、次亜塩素酸水の場合、塩素濃度が10~60mg/kgで殺菌効果が生まれますが、次亜塩素酸ナトリウム液で同じ効果を得るには、塩素濃度100~200mg/kgも必要になります(*1)。
次亜塩素酸は、細菌などの微生物の細胞内部に侵入し、細胞が生きるために必要な酵素や組織を破壊します。そのため次亜塩素酸は、塩素濃度が薄くても、効率的な殺菌していくことができます。
濃度が高い次亜塩素酸は、「別の殺し方」で殺菌します。高濃度の次亜塩素酸水では、水酸化合物イオン「OH–」が発生し、これが微生物の細胞壁や形質膜を壊していきます。
*1:http://www.techcorporation.co.jp/product/whats_ess/post_30.html
次亜塩素酸水をつくる方法はとても簡単です。水道水に塩を入れた食塩水に、プラスとマイナスの電極を入れて電気を流すと、プラス側に次亜塩素酸水ができます。
食塩水に電気を通すと、プラス極に塩素イオン「Cl–」が引き寄せられます。これにより、気体としての塩素(塩素分子、Cl2)が発生します。化学反応式は次のようになります。
2Cl–→Cl2+2e–
塩素(Cl2)はすぐに水(H2O)と反応して、次亜塩素酸(HClO)をつくります。
化学反応式は次のとおりです。
Cl2+H2O→HCl(塩酸)+HClO(次亜塩素酸)
次亜塩素酸水のメリットは次のとおりです。
- 殺菌効果が高い塩素が含まれている
- 塩素は残留しやすいため、効果が持続しやすい
- コスト安
- 薄めて使えば、皮膚に触れることも飲むこともできる
皮膚に触れても安全なことから、加湿器のなかに次亜塩素酸水を入れて、部屋全体を除菌することもできます。病院や介護施設では、すでにその方法が試されています。
また、次亜塩素酸水には消臭効果があることから、ペットの臭い対策でも加湿器を使った方法が導入されています。
次亜塩素酸水のデメリットは次のとおりです。
- 塩素が有機物と混ざると、発がん性があるトリハロメタンが生じる
- 塩素が残留しやすい(殺菌後も残留してしまうと、害になることがある)
次亜塩素酸に含まれる塩素が生むトリハロメタンは発がん性があることがわかっています。この欠点は致命的に思われるかもしれませんが、塩素の人類への貢献度を考えると、すぐに使用を中止することができません。
浄水場で塩素が使われているのは、水道水が長い配水管を通って家庭の蛇口に到着するまで殺菌力を失わないからです。もし塩素を使わなかったら、別の殺菌剤を使って浄水場で水を殺菌しても、配水管のなかで再汚染されてしまうでしょう。そうなれば、汚染された水が家庭の蛇口から出てくることになります。
次亜塩素酸水も、塩素を極力減らして使う必要があります。
まとめ~オゾン水に注目を
オゾン水とアルコールと次亜塩素酸水は、いずれも優れた殺菌剤です。それぞれの長所を活かせる場所と、それぞれの短所が出にくい場所を選んで殺菌すれば、高い効果を得られるでしょう。
この3つのなかで、オゾン水に注目してみてください。オゾン水には他の2つにはない長所がありながら、アルコールや次亜塩素酸水ほど「メジャー」ではないので、検討されないことがあります。
しかしそれはもったいないことです。
<オゾン水が、アルコールより優れている点>
- 脱臭効果がある
- 燃えない
- 皮膚に優しい
- 環境への負担が小さい
- 食材へのダメージがない
- 菌やウイルスを確実に殺菌・不活化できる
<オゾン水が、次亜塩素酸水より優れている点>
- コスト安
- 殺菌後に洗い流す必要がない(殺菌作業を効率化できる)
- ぬめりを除去できる
- 発がん性がない
- 食材を直接殺菌してもダメージを与えない
- 新型コロナウイルスを不活化する
オゾン水の特徴を「殺菌剤の選択肢」に加えると、コストや安全性でもメリットを得られるでしょう。